プッチーニおじさんのマダム・バタフライ物語の基本構成は、いつでも、どこでも出かけていてけるように、コンパクトなサイズにしています。
イメージしたのは、昔イギリスで見た、少ない役者、シンプルな舞台、転換も歌手が行うというトラベリング・オペラです。出演者は、ソプラノ歌手2名、テノール歌手1〜2名、ピアニスト1名、それにナレーション1名です。映像投影や舞台準備等を行うスタッフが2名いれば実施が可能です。
主人公の蝶々さんが、最後には自害をするというショッキングなお話を、子どもたちに伝え、子どもたちに馴染みのない(多くの日本人もそうですが)イタリア語のオペラを、プッチーニ音楽の魅力とともに、客席に伝えていくナレーションは、重要な役割を担います。
一般的なガラコンサートのように、進行役がオペラアリアの内容を説明するのではなく、最初は初演が不評で怒りながら登場するプッチーニが、いつの間にか作品と聞く人をつなぐだけでなく、プッチーニの音楽の化身のようになり、物語の世界に入り込んで語り出します。
今回のアウトリーチ4公演では、幸いなことに3人の個性的なプッチーニおじさん(以下、Pおじさん)に登場してもらいました。
お一人目は、長崎で自らも劇団を率いて活躍されている田中義克さん。ミュージカルの出演経験も豊富で、バレエも訓練されている田中さん。台本を丁寧に読み込み、きちっと物語を子どもたちに伝えてくれました(最後には歌も一緒に歌ってくれました)。
お二人目は、フェスティバルで演出をお願いしている、飯塚励生さん。アメリカで活躍されている頃は、役者もされていたという励生さん。見事な声と立ち振る舞いで、演じてくださいました。海外での生活が長いという事もあり、イタリア人のPおじさん役はピッタリとはまり、イタリア語でのアドリブも連発。
そして三人目が、この物語を構想した段階から相談に乗ってもらっている声優の堀江一眞さん。東京で、音楽物語の朗読の経験も積んでいらっしゃり(先日はベートーヴェン役だったそうです)、音楽との呼吸もピッタリ。前半の子どもたちとのやり取りの中から、声色を変えながら自然にお話の世界に彼らを引き込んでいくのは見事でした。
2月のフェスティバルは、堀江さんによる公演ですが、この3人のPおじさんで、長崎各地を回れたらと思っています。
(堀内伊吹)
恵愛保育園 (‘20.11.22)