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マダム・バタフライ・フェスティバル2020 連載エッセー 長崎と蝶々さん⑥

 

長崎と蝶々さん⑥「作曲家の仕事部屋」


   トッレ・デル・ラーゴの町工場の騒音から逃れるために余儀なく引っ越しをして、プッチーニが最後に住んだヴィアレッジョの家は、しばらく放置されていました。そのため建物は、あちらこちら傷んでいましたが、現在プッチーニ財団が修復にあたっています。昨年ルッカを訪問した時に、ルッカ市内から車で40分ほどのところにある、修復中の作曲家の最後の家を、特別にルッカ市長さんが自ら案内してくれました。

   階段を注意深く上がって行くと、2階の寝室には、プッチーニと奥さんのエルヴィラさんのベッドに加え、お二人それぞれ専用のトイレもありました。理由はよくわかりませんでしたが。中でも、とても興味深かったのが、2階の廊下に、教えてもらわないと気付かない小さな扉があり、その扉をくぐり下に降りていくと、なんとそこがプッチーニの仕事部屋でした。現在は、プッチーニが作曲に使っていたピアノはそこにありませんでしたが、普段は、社交的で、お酒も狩りもギャンブルも好きで、地元の人々とも仲良く付き合っていたプッチーニが、自分だけの大切な部屋をつくり、そこに秘密の扉から階段を下り行き、作曲に没頭する。想像しただけで、ちょっと嬉しくなるような、秘密の扉、そして仕事部屋でした。そのお部屋、実は「誰も寝てはならぬ」ではなく、仕事中は、「誰も入れてはならぬ」だったのかもしれません。


(UTAOTO委員会 堀内伊吹)

【2020/02/06】
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