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マダムバタフライフェスティバル・親子コンサート更新情報

マダム・バタフライ、物語の伝え方:連続エッセー②

 

  数年前、文化庁から支援をいただき、大学を活用したアートマネジメント講座を実施していた時に、「長崎の人が知っているようで実はよく知らない、マダム・バタフライ」というテーマを掲げ、いくつかの取り組みを行いました。コンクールやフェスティバルの事務局を務めている私自身、オペラの登場人物の名前を正確に言えるかどうか、メロディーを聞いて、それがどの場面なのかをさっと言えるかどうかは、自信がありません。

 

  今年は皆さんご存知のように、ベートーヴェンイヤー。何冊もの面白い本も出版されました。その中で興味深かったのが、「ベートーヴェンと日本人」(浦久俊彦著、新潮新書)です。明治以降、ベートーヴェンがどのように日本人に享受されて来たのか、そして、どのようにして、『第九』が日本人の魂と言われるまでになったか、などが時系列で紹介されています。大正期の日本人が、ベートーヴェンの交響曲をどのように聞いていたか。その例として、評論家の兼常清佐氏の解説を引用しています。
 「この九曲は、最後の第九を除いて後の八曲は、大抵どれもこれも似たものである。~中略~初めてこのシンフォニーを聞くような諸君は、ことによると第一と思って第二を聞いたり、『エロイカ』と思って『パストラーレ』を聞いたりしかねないくらいである」
  と。そのあとの文章で、しかしこれらの九曲は、どれも名曲で古典的な音楽美の標準がある、とも述べていますが。笑えるような、もしかしたら、あまり笑えない、約100年前の日本のお話です。

 

  12月9日から11日にかけ、シーハット、ブリック、アルカスで、「蝶々夫人名曲集&長崎のウタ」コンサートが開催され、人数制限はありましたが、会場に足を運んでくださったお客様に、久しぶりに生の音楽をお届けしました。第1部の蝶々夫人名曲集は、室内合奏団の芸術監督である村嶋さんと、当日指揮をされた、村上寿昭先生がご相談をされ、選曲。オーケストラによるオープニングがあり、第1幕の蝶々さんとピンカートンの美しい愛の二重唱、そして、第2幕のある晴れた日に、花の二重唱、と続き、最後はさらば愛の巣と終曲。3つの会場それぞれに選出された、歌手の皆さんの熱演、室内合奏団の緻密なアンサンブル、村上さんのこだわりのプッチーニ(イタリアオペラ)の解釈、とても見応えがありました。曲間には、程よい長さで、物語の概要説明と曲紹介が市原隆靖君のナレーションで入りました。プッチーニおじさんとはまた違った、選曲と伝え方。このあたりが、やはり音楽物語の面白さかもしれません。それにしても、やはりオペラアリアは、オーケストラバックで聞くと、迫力も楽しさもぐんと増しますね。

 

 

(UTAOTO委員会 堀内伊吹)

【2020/12/17】
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